留学体験記 市坪伯之
私は2007年3月から2008年1月まで大連外国語学院に留学していました。大連外国語学院へは北九州市立大学から毎年交換留学生が派遣されており、今回私は交換留学生として約1年間大連へ留学していました。
今回の留学は私にとっては初めての中国生活となり、勉強面にせよ生活面にせよいろいろと戸惑うことばかりでした。
はじめに勉強のことについてですが、私の場合前期は漢学院の中級クラス、後期は本科の三年貿易クラスで授業を受けました。ちなみに漢学院とは語学研修のコースであり、中国語の文法・会話・閲読・翻訳などを勉強する場です。本科は日本の四年制大学と似たようなものであって、そこでは中国語自体も勉強しますが、そのほかにも経済・文化などといった授業を中国語で行います。当然ですが先生は全て中国人で、初級クラスの一部の先生と翻訳の先生以外の先生は日本語を話せません。
私は一応2年間日本で中国語を勉強していたのですが、授業が始まった当初は先生の言っているスピードが速すぎてほとんど聞き取れず、耳が慣れるまで授業についていくのに必死でした。また会話の授業では自分の意見を発表しなくてはいけないのですが、私はほかの生徒に比べてなかなか流暢に話せないこともあり、最初のうちはそういった会話の授業がかなり嫌でたまりませんでした。しかし予習、復習や宿題をしっかりやることや、クラスメイトと積極的に会話することでだんだんと苦手意識も払拭されていき、二ヶ月目には会話の授業が楽しくて仕方がなくなりなした。やはり語学を勉強する上では、慣れと普段の努力が重要になってくるということをこの留学生活で改めて実感しました。
私が前期勉強していたクラスでは、日本人が半分で、後は韓国人、タイ人、インドネシア人、イタリア人とかなり多国籍なクラスになっていました。クラスによっては日本人がほとんどだったり韓国人しかいなかったりとかなりばらつきがあったみたいでしたが、国際色豊かなクラスだったので、中国語を使ってそれぞれの国の文化や習慣を話すこともあって、非常におもしろい経験ができました。
また、留学している日本人の中では、企業を退職して中国に来た年配の方や、英語圏に留学していて次は中国語を勉強しようと思って来た人、語学の勉強+職探しのために留学に来た人、または、企業からの派遣で中国語を勉強しに来た人などさまざまな経歴を持つ人がいました。私は留学前は、留学生=大学生という認識しかなくそういった人たちと一緒に勉強したことはとても面白く、社会人ならではの話もいろいろと聞くことができ、中国語の勉強ということ以外にも非常に得るものがありました。
次に、生活面についてですが、私の場合半年は寮に、もう半年は外に部屋を借りて生活していました。まず寮に住んでみて思ったことは、やはり部屋の中はかなり汚いということです。初めて部屋に入ったときは勉強のこと以前に、この部屋の状態でちゃんと生活していけるのだろうかという不安ばかりがありました。しかし、悲しいことですが、一週間もすれば部屋の汚さにも慣れてしまい、どれだけ汚かろうとあまり気にするようなことにはならなくなりました。ちなみに大連外国語学院の場合、寮と学校が同じ建物になっており、移動に関してはかなり便利です。生活用品も近くのスーパーにほとんどそろっており、一ヶ月以降は、生活に関して不便を感じるということはあまりありませんでした。
外で部屋を借りて生活したもう半年間は、私は大連で知り合った友人二人と一緒にルームシェアという形でアパートの一室を借りて生活しました。外に住む場合、寮に住んでいたときに比べて不便に感じることも多々ありました。やはり外国人ということもあり、大家が家賃を高めに要求してきたり、公安局への手続きも自分たちで行わなければならず、何かわからないことがあるとそのつど大家に電話したりと、初めのころは友人たちと一緒に四苦八苦していました。正直に言うとかなりいらいらすることもありました。しかし、外に住むと寮に住んでいたとき以上に実際の中国での生活を肌で感じることができ、かなり貴重な体験ができました。
また、日本語を勉強する中国人学生と相互学習をすることもありました。私と一緒に勉強した学生たちは、熱心に日本語を勉強しようとする人ばかりだったので、そういった人たちと交流していくことは私の勉強にとってかなりいい刺激になりました。相互学習の内容は主に自分が授業でわからなかったことの質問や自分がした宿題を見てもらうということだったのですが、そのほかにも彼らを通じて、中国の文化や習慣、考え方、または最近の流行の話などを聞くことができ、授業で教えてもらったこと以上に中国のことを知ることができました。
留学中には旅行にも行きました。五月の大型連休の時には鄭州と洛陽に、夏休みの時には、北京、上海、蘇州、杭州とかなりたくさんの場所を周ることができました。その中で一番印象に残っているのは、鄭州・洛陽への旅で世界遺産である竜門石窟を見たことでした。私にとって初めての中国国内での旅行でもあったし、生で世界遺産を見ることができ、非常に感動しました。
今回の留学で、良いことも悪いこともいっぱい経験することができました。正直に言って早く日本に帰りたいと思うことも多々ありましたが、全体的に見て非常に充実した10ヶ月間だったのではないのだろうかと思います。語学力の向上、中国への理解、友人との出会いなど留学からさまざまなものを得ました。留学の思い出は私にとって非常にかけがえのないものです。家族や留学の機会を与えてくれた学校を含めて、留学に関してお世話になった方々には非常に感謝しています。この経験をもとに、これからの人生をがんばっていこうと思います。