外国語学部

10ヶ月の中国留学 藤本敦子

1、はじめに

2006年2月28日、私は大学4年の春、交換派遣留学生として大連語学学院へ留学しました。

2月の大連は想像以上に風が冷たく、人生で初めて感じる寒さでした。冷凍庫の中のようでした。

大学からの迎えのバスに揺られて30分ほどで大学に着きました。その日は特に入寮手続きが多かったらしく、受付の人はいらいらして、来たばかりの不安ではらはらしながらぎこちなく入寮手続きを終えると、申し込みどおりに2人部屋に案内されました。好意で手続きを手伝ってくれる留学生の人もいるので、その人たちを見つけられた人はとてもラッキーだと思います。

私のルームメイトは韓国人でした。韓国人がとても多い学期でした。韓国人はなぜか声の大きい人が多い!と思うのは私だけじゃないはずです・・・。

2、授業について

私は前期は中級班、後期は高級班に学びました。3月に入って1週間のうちに、クラス分け試験とクラス分け発表があります。授業が始まって3日間は自由に他のクラスをみることもできます。できるだけ自分に合ったクラスを見て自分の肌で雰囲気を感じ取ってみることが大事です。私が行ったころは中級班はAからDまでありました。話し言葉や中国に関する基礎的知識をこの際中国語でじっくり学びたい、という方には中級D班からB班をお勧めします。なぜなら、A班で使う教材は全て基本を押さえた上で使われるものだからです。焦らず自分に合ったクラス、教材を選んだほうが楽しいです。最初に話し言葉を勉強したいと思うのなら、初級クラスの教材がとても役に立つのでは、と思います。実際にルームメイト来たばかりの頃、全く話せない状態から日に日に進歩していく様子が目に見えて分かりました。

3、語学力

語学力の伸びと努力の差は大きく出ます。

私は元々話すのがそんなに得意でも好きでもないほうでしたが、中国人の友人たちと先生方のお陰でなんとか日常生活では困らない程度に伸びました。「功は焦らず」「気長に」「一生懸命」「面倒臭がらず」が一番の近道です。中国人の友達は学期初めに人からの紹介、もしくは直接本人に寮の入り口、道端で声をかけられて・・・といった具合に出会いました。

大外には日本語学科の生徒さんが大勢います。日本語学科のみならず、他の科目と同時に日本語を履修している学生もいます。それから、外でごはんを食べていたら突然話しかけられることもあります。人によっては日本語教師を現地でアルバイトとしてする機会に恵まれることもあります。いずれにせよ、人との交流によって語学力および自分の視野が広がっていくことを私は感じました。

中国政府が公認しているHSKという資格(漢語水平考試Hanyushuipingkaoshiの頭文字:中国語政府が中国語を母国語としない中国語学習者のために唯一中国語能力認定標準化国家基準として認めた資格)があります。HSKは基礎・初中等・高等の3段階に分かれていて、それぞれ問題の難易度が違ってきます。それぞれの等級内でもランク分けされていて、基礎が1〜3級、初中等が3〜8級、高級が9〜11級という具合です。HSKを受けるに当たって、専門の補習コースを受ける人もいますが、私は問題集を1冊購入して終わらせて、最終的に初中等の8級に合格できました。この経験は一人でこつこつ努力することの大事さを私に教えてくれました。当たり前のことを当たり前にすることの大切さ。この留学期間で得た一番の成果です。HSKについて詳しく知りたい方は以下のURLをご参考にしてください。http://www.jyda-ie.or.jp/hsk/whatshsk.htm

4、旅

留学期間中、何度か旅行に行きました。一本の川を挟んで北朝鮮に臨む丹東市、初めて一人旅をした瀋陽の街、辛さと暑さに負けそうになった四川、自分でチケットを買って乗り込んだ天津・北京の旅。中でも四川の旅では、世界自然遺産の九賽濠と、隣の黄龍という湖が連なった山へ行ったことが思い出に残っています。標高3000メートル以上の土地に広がる自然の色とは思えない青い色の湖、壮大な滝、高山病に負けそうになりながら上りました。旅の道中は全て中国人とともにバスに乗り、移動途中で中国軍の演習の為に足止めを食らう、台湾の尼僧の方と同じ部屋に泊まるなど日本では味わえない経験をさせてもらいました。旅に出かけた後、中国語のレベルが自然にアップしていると感じられました。また、旅先で出会う人たちにはとてもお世話になりました。中国人は気さくに話しかけてきます。そこで躊躇せずに恥ずかしがらずに自分の話せる簡単な言葉でゆっくりと話せば、友達が増えます。こうした出会いも元来出不精の私には大きな感動でした。

5、最後に

もしも今留学をしたいと夢を持っている人は、その前に自分が留学へ行って何をしたいか、自分がどんな人間でどんな考え方と生き方をしている人間なのかじっくりとふまえておいてください。留学は自分次第で楽しくも苦しくもなります。留学して私は素晴らしい友人たちに出会うことができました。日々の生活を大事にする力、日々の生活を楽しむ力。こういうことの大事さを外国人の友人たちから学びました。海外での生活はこのことが大きく自分に関わってきます。人と関わることが大好きな人にとっては大きなチャンスですし、旅が好きな人は十分に楽しめます。自由です。私はこの留学で自分がどんな人間なのかを再発見することができました。

1年間お世話になった先生から「人生にとって一番大事なことは一生懸命に努力することだ」という言葉を最後に頂きました。一生懸命取り組めば何事もあなたにちゃんと跳ね返ってくるのが留学です。がんばってください。今回留学に行かせてくれた家族と大学、支えてくれた友人たちに感謝しています。

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