外国語学部

私の経験した留学 上野はるな中国語専攻3年

私は、2003年3月から5月、そして同年8月から2004年1月までを中国・大連市の大連外国語学院で交換留学生として過ごしました。この交換留学生というのは、北九大と大連外国語学院が毎年学生を交換し、実施しているもので私は第3回の派遣留学生でした。大連外国語学院でとった単位は、帰国後、手続きをふめば北九大の単位として認められます。交換留学を希望する学生は、派遣される前年の夏から筆記試験、面接などを受け、決定されます。今回、稚拙な文章ながら私の留学経験をまとめてみたいと思います。

留学は、ひとことで言って、おもしろいです。外国語や外国の文化に興味がある人なら、そしてしっかりと自分を持って、少々のことなら乗り越えられる人なのであれば、留学はとても良い、そしてとてもおもしろい人生経験になるのではないでしょうか。もちろん、順風満帆にはいきません。勉強すればするほどなかなか低くならない気がする外国語の壁、なかなか理解しがたい外国の風習、留学生活という狭い世界での友達関係、などなど、「もう、嫌だ!」と思うような気分の時ももちろんあります。最初のうちはすべてが新鮮で、すべてめずらしく、それがだんだん慣れてくると、今度は異国の地でちゃんと暮らしているんだという実感。もちろん、親元を離れて基本的に若い人たちが集まって一緒に勉強したり生活したりするのですから、助け合ったり時には一緒にちょっと羽目をはずしてみたり、日本ではちょっと味わえないような経験ができるのです。若いうちにそのような経験ができるのは、すごくラッキーなことだと思います。例えば、私は中国人の友達の実家に泊まりに行かせてもらい、ちょっとしたホームステイ気分で、しかも中国人の家庭の温かさに触れ、とてもいい思い出ができました。

授業の話しをすると、私は今回、前期は高級Bクラス(上級レベルのクラス。会話や作文、閲読など)、後期は本科3年生(中国で大学に通う人のクラス。生徒は全員留学生です。中国語で、経済学や中国社会について学びました。口語(会話)などの中国語の授業もあります)のクラスに参加したのですが、その本科のクラスに入って驚きました。半分くらいの生徒が、中国人と日本人のハーフであったり、華僑だったり、とにかくペラペラなのです。彼らは漢字を書いたりするのはあまり得意ではないようですが、やはり口語は本当に上手で、結構カルチャーショックでした。ただ、授業で分からないところを教えてくれてありがたかったですが...とにかく、彼らをお手本にして頑張ろうと思い、自分の励みにもなりました。

中国には、外国人の中国語レベルを判定するHSK(漢語水平考試)というテストがあります。リスニング・語法(文法)・閲読・総合の4部分に分かれており、留学成果を見るためにその試験を目標に掲げる人が多いのですが、そこで8級(中国語検定試験2級相当)を取ることができました。全部で2回受けたのですが、初めて10月に受けたときは、6級でした。そのときの結果が、リスニングと語法が悪い結果だったので、その2部分を中心に勉強しました。とは言ってもテレビを見たりして中国語になれる特訓をしたり、語法は問題集をひたすら解きました。私個人の感想ですが、HSKのためだけの勉強をするよりも中国人と会話したり、遊んだり、授業をまじめに受けているほうが自分の勉強になると思います。成績は結果としてついてくるのではないでしょうか。学校生活について言えば、私は寮に住んでいまして、何の不満もなかったといえばウソになりますが、それなりにいい環境だったと思います。あんなにたくさんの外国人の友達と遊んだのも初めての経験でしたし、みんなそれぞれお国柄があったり、肌の色は違ったりしますが、そんなことは結局関係なく、人間として付き合って、一緒にご飯を食べたりお酒を飲んだりしゃべったり笑ったり、本当に大切な思い出です。

中国という国は、良くも悪くもなかなか予想外のことが起こる国でして、とても面白かったです。でも、私は留学に行って中国という国が好きになりました。日本ではちょっと味わえないような経験がたくさん転がっています。

ではなぜ今回留学が2回に分けてあるのか?それはSARSです。あの、図らずも有名になってしまったSARSです。最初の方は報道も激しくなく、そんなウイルスがあるのか〜、怖いな〜、くらいにしか思ってなかったのですが、だんだん、あれ?実はけっこうやばい状況なのかな?と思い始め、あっという間に日本の学校に一時帰る事になってしまいました。そのときは留学を最後までやりとげられなかった悔しさなどから、精神的にも勉強面でも結構つらかったのですが、それも今となっては思い出です。そのときの悔しさがバネになった部分もあります。これからの世界、どこの国にいても、たとえ日本にいてもなにが起こるか分からない状態です。そこをそうやって乗り越えていくか、それはそれぞれに自分の答えがあるのでしょうが、今回のSARSの経験は私にそのことを考えさせてくれました。人生には理不尽な、なぜ自分がこんなことに?!というような場合があるのです。その壁にぶち当たったとき、自分のなかで答えを見つけてステップアップし、これからの人生に生かすことが大事なのではないでしょうか。ピンチはチャンスです。これから留学を考えている皆さん、頑張ってください!

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