外国語学部

留学はチャンス 綾三恵子 中国語専攻3年

私は2004年3月から2005年1月までの11ヶ月間、大連外国語学院(以下、大外)との交換派遣留学生として大連へ留学しました。北九大に入学する前から「絶対に交換留学生として中国に留学する」と決めていた私にとって、この1年は1つの目標を実現させた年でもありました。交換留学の大きな利点は、休学せずに留学できるという事です。私はこのチャンスを存分に活用しました。

以前、中国旅行をした事はありましたが、これ程長期間中国で生活したのは初めてで、やはり旅行とは全く別物でした。大連は風光明媚な沿岸都市で、外国、特に日本との経済・文化交流が盛んな都市です。坂が多いため、中国では珍しく自転車を見かける事は殆ど無く、その分バスが市民の足となっています。自転車が希少とは言ってもそこは中国、人の数は半端ではありません。休日にもなると街の中心は人で溢れかえります。また、中国の公園は主に高齢者の憩いの場で、明け方は太極拳、夕暮れ時にはゆったりダンスをする人たちを見かけることも多々あります。真冬になって公園の池がすっかり凍ってしまうと、スケートを楽しむ人々で大賑わいです。大連は中国でも特に清潔な都市の1つで、清掃員の方々のお陰でいつも清潔ですっきりした環境に保たれています。ただ、北九州と同じく風が強いのが難点ですね。

留学開始後暫くして実感したのが、北九大中国語専攻、そして私が参加しているサークル「中国語会話研究会」のすばらしさでした。2年間しっかりと発音や文法等の基礎を学んでいたお陰で留学後の上達も速く、1ヶ月が過ぎる頃には中国語での日常会話をとても楽しめるようになっていました。中国語は発音や声調(文字ごとにあるイントネーション。同じ字でも意味等によって変わる場合もある)がとても重要なのですが、大部分の留学生はこれがしっかりマスターできていません。その点私達は中国人の先生や先輩方から細かな指導を受けていたため、正しい基礎の上にどんどん新しい知識を増やしていく事ができました。もう一つ実感したのが語彙力不足です。語彙力はあればあるほど良い。留学前にもっと広範囲にわたって単語を勉強するべきだった、と後悔しました。中国語を勉強する方は是非、発音・声調・語彙力を重視して下さい。

そして留学中に大切にしてほしいのが日本語を勉強中の中国人学生との相互学習です。私は何人もの中国人友達との勉強(と言ってもおしゃべりが殆ど)を通して会話力を磨きました。気を付けたのは、良い言い回しや決まり文句、初めて知った言葉は直ぐにメモする,ネイティヴである彼らの中国語を真似、自然な中国語を心がける,理解できない問題や日頃ふと思いついた疑問等はメモしておいて後で必ず彼らに聞く、という事です。効果ありますよ!

私が留学生活で経験し学んだ事は全く数え切れませんが、語学面以外で一番大きかったのは新しい友人との交流を通して得た事です。大外には実に様々な国から留学生が来ています。日本、韓国、ロシアを始め、アメリカ、タイ、インドネシア、朝鮮、イタリア、オーストリア、フランス、ニュージーランド等、この1年間で数多くの新しい友達と知り合うことができました。特にタイ人の友達は最高でしたね。

中国語の更なる上達や現地就職を求めて大連に来た人、仕事をやめて一からやり直しに来た人、各国を留学し何ヶ国語も操れる人、受験に失敗してただ何となく中国へ来た人、親の母国を学びに来た華僑、そして相互学習で一緒に勉強し遊んだ日本語学院の中国人学生や大外の先生方など、彼らは皆それぞれ異なった土地、社会、文化、習慣、言葉、宗教等の中で育ってきたため、当然それぞれに異なった経験や価値観を持っています。彼らとの交流を通して知った新たな知識、視点、価値観、人生観、様々な体験談、そして彼らとの友情と思い出は貴重な宝物です。日本で普通に大学生をしていたのでは決して手に入らなかったでしょう。この1年で私の世界は大きく広がりました。

また、留学中には様々な事を経験するチャンスがあります。旅行もその1つですが、私は夏休みを利用し友達と一緒に1ヶ月ほどかけてバックパック1つでチベットへ旅行しました。あの海抜4、5000mの目も眩まんばかりの自然美と、土地と人々の暮らしにしっかり根付いているチベット仏教の独特な雰囲気は、神秘に満ちた魅力的な世界を創り上げています。旅行は、中国各地を訪れその土地を満喫しつつ中国語の実践の場ともなるので、かなりおすすめです。勿論旅先でまた新しい友達もできますしね。

その他にも、大連国際ファッションショーのパレードや中国語スピーチ大会に参加したり、HSK(漢語水平考試という中国政府が唯一公認する中国語を母国語としない人の語学能力を測るテスト)を受験したり、中国人に日本語を教えたり、韓国人ルームメイトの通う教会や中国人友達の家へ遊びに行ったり、留学生主催のパーティに参加したり‥‥本当に色々な事を経験しました!

これは留学に関係なく言えるのですが、チャンスは常に自分の周りに存在します。それを見過ごさずに上手く活用できるかどうかは全て自分次第です。自分からチャンスを探す、更には作る事もできるのです。留学中、日本人の友達とだけ親しくして遊んでばかりの生活を送るか、留学というチャンス、様々な経験をするチャンスを十分に活かして内容・成果のある充実した生活を送るかは自分のやる気と心がけ次第です。

私の大連での1年間は、早かったようでしっかり1年分のやる事・やりたい事はやった中身のある楽しい1年間でした。これから留学する方も是非、チャンスを活かして楽しく充実した良い留学をして下さい!

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