地域社会領域
都市社会研究
「都市社会学の理論と技法」を学ぶことを目的とする。まず「理論編」では、都市社会学の主要な理論的潮流である(1)シカゴ学派都市社会学、(2)新都市社会学、(3)都市リストラクチャリング論、(4)コミュニティ論について理解を深める。つぎに「技法編」では、(1)都市社会調査の歴史、(2)枠組み、(3)方法について学んでゆきたい。なお、授業は学生参加形式で行い、評価は学期末に課すレポートによって行う。時間的に可能であれば、「グローバル化の進展と大都市圏の階層分化」に焦点をあてた実証研究への参加も考えている。
企業経営研究
国際経営比較の観点から、多国籍企業の経営国際化の背後にある論理を探りながら、特に東アジア新興工業国の高成長を牽引してきた財閥系企業の経営構造、経営国際化プロセスについて焦点を絞り、議論していきたい。東アジア地域企業に関する情報や知識の取得と共に、分析方法を身につけ、現実的な国際経営の諸課題に対する洞察力、分析能力を高めるための指導を試みていく。その結果、高成長東アジアのダイナミズムの北部九州への取り込み、地域経済の活性化に寄与することを期待したい。
都市情報工学研究
都市における情報伝達、コミュニケーション、ネットワークなどを数理工学的にとらえ、情報や伝達手段が不確実性を伴う場合に個人やグループ全体としての快適さや好みを取り入れた意思決定のあり方について数理的な方法で考察する。時系列情報の流れをひとつの系をなすシステムとして表現し、確率論やファジイ理論等の複雑系システムを用いて、不確実な情報表現のあり方と不確実・不確定な状況下における意思決定の方法を様々な評価基準を用いて論じる。高度情報化社会における地域政策を考慮するとき、厳密な数理的手法によって、意思決定のプロセスを理解、政策決定のシミュレーション化を図る。
社会心理研究
人間関係の様々な問題に共通して関わる基礎的な機制を社会心理学的に研究するために必要な体系的な知識や研究方法の枠組みを提供する。現代社会において研究の対象となる現象は幅広いが、中でも特に、個人内の心理過程でアイデンティティや自己観との関わりから生じる様々な葛藤が、対人関係、集団行動等にどのように顕在化するか、また、そのような葛藤を解決させるために生じる個人の行動が、対人関係や集団行動等にどのような変化を起こしうるのか、というテーマを中心とする。社会心理の基礎理論に重点を置きつつも、受講生各自の研究テーマの発展に寄与するよう考慮した授業とする。
地域臨床教育研究
青少年犯罪の深刻化が指摘されているが、その原因は脳の神経心理学的な問題から児童虐待をはじめとする家族病理、また、今日の社会システムそのものの機能不全の問題などが重層的に関連している。また、不登校から引きこもり状態に入ったまま20代、30代を迎える人々が増加し、「非精神病性引きこもり」の人々に対する援助の問題が地域精神保健などでも、都市政策上大きな課題となってきている。本授業では、青少年犯罪やシンナー、覚醒剤などの薬物依存、また、「非精神病性の引きこもり」などの問題に視点を当てて、これらの問題の発生機序と地域での教育的援助のあり方について考察する。
地域イノベーション研究
わが国経済のグローバル化と地方分権化が進展する中にあって、地域の果たす役割はこれまで以上に大きくなってきている。地域は中央政府による外発的な支援に期待することなく、自らの地域に蓄積する多様な資源や特性を活かした内発的な発展を志向していかなければならない。この内発的発展に向けた方策の一つに「イノベーションの振興」がある。本講義では、地域イノベーションの構造と、それを促進する都市創生の方向について、事例や実証研究の結果をもとに考察する。
福祉社会研究
社会福祉とは何かについての原理論と、社会福祉の援助論について深めていく。現代の社会福祉政策や社会福祉の実践(援助)は社会福祉とは何かという原理(論)が軽視されている。政策-実践(援助)-対象という三項関係を踏まえながら社会福祉の原理と援助のあり方について理解し、理論操作が可能となることを到達目標とする。
司法福祉研究
非行や犯罪にかかわるあらゆる現象について、主に心理社会的及び福祉的視点から検討していく。地域性、文化、価値観はもちろんのこと、司法制度、教育制度、医療制度、雇用制度、福祉制度等さまざまな社会制度のあり方が、非行や犯罪にどのように関わっているのかを理解する。
社会福祉政策研究
社会福祉に関する制度・政策を中心に、その対象課題を分析することを通して、その構造的・実践的課題を社会福祉学の視点から検討をしていく。特に社会的排除と福祉ニーズ、マイノリティとバルネラビリティ(社会的脆弱性)が交差するような社会問題としての生活問題に対して、構造的なアプローチである政策研究と、実証的なアプローチである政策科学研究の両方を視野に入れて分析する必要性について理解をする。
都市環境政策研究
北九州市をはじめとする日本の経済発展と環境問題への対応は、現在、環境問題に直面するアジア等の諸国の先行モデルとして高い移転可能性を持つと言える。途上国の諸都市がそれぞれの置かれた状況を踏まえ、日本の環境対策の成功と失敗の経験を教訓として活かしていくことができれば、日本がかつて経験したような深刻な公害問題を回避することが可能である。さらに、後発性の有利さを活かすことによって、今後、効率的な環境対策の実施を行うことも可能である。そこで、環境問題の発生メカニズムとその対策について、日本及びアジアの諸都市の比較研究を行う。さらにアジアを中心とした途上国への移転可能性について考察する。
都市政策論研究
本講義のテーマは、「都市政策の経済分析」であり、そのねらいは都市経済学への勧誘と都市政策の分析・評価を試みることにある。したがって、その個別具体的な内容として、「都市がなぜ存在するのか」という基本問題に対する経済理論的な解明に加えて、「市場の失敗」や「政府の失敗」についての基礎的理解を深める。また、その応用として、各種の都市政策−例えば、土地問題、住宅問題、都市財政、都市交通、環境問題等−に着目し、その有効範囲と限界について考察する。
統計学研究
統計的な推定、検定の数理的な基礎を学ぶ。確立と確率分布の概念を学習した後、同時分布の定義とそれにかかわる条件付分布、独立性などを学ぶ。さらに代表的な分布である、二項分布、ポアソン分布、正規分布、二変数正規分布に習熟する。最後に、回帰分析の理論と実際を学ぶ。