社会システム研究科

東アジア社会圏領域

東アジア社会圏領域

東アジア政治研究

現代中国を中心とした東アジアの政治外交の特徴を、歴史的な視点を加味して検討する。東アジアは、中華文明圏といわれるように、中華文明、中華思想の影響下で歴史を育んできた。現代はグローバル化されたといえども、依然として伝統的価値観に規定された政治文化風土が根付いている。中国政治の伝統的体質を「賢人支配の善政主義」と理解し、その枠組みから、中華民国時代、中華人民共和国の革命時期、次いで改革開放時代の現代を連続的に捉える。

東アジア経済研究

長期にわたって急速な発展を遂げてきた、東アジア諸国の経済について講義を行う。日本からはじまった東アジア地域の工業化の流れは、まずアジアNIEsに及び、ASEAN、中国へと広がっていき、他の発展途上地域とはまったく違う経済パフォーマンスを示してきた。その反面で、経済発展に伴って生じた構造的諸問題(金融危機や環境問題、所得格差など)も抱えている。この講義では、東アジア諸国の経済発展の経緯と要因、それに伴って生じた問題点と、将来の課題などについて考察する。また、近年東アジアで活発になっている経済統合の動きと、日本と東アジアとの今後の経済関係のあり方についても議論する。

東アジア国際関係研究

近代東アジア三国(日本、中国、朝鮮・韓国)の国際関係史を、その思想史に焦点を合わせて比較考察する。その方法は、拙著(『東アジア「開明」知識人の思惟空間』)でも述べたが、「構造相関」的分析であり、視点は「アジアから考える」という視点と文明論的視点である。この二つの視点は今なお根強い欧米中心的な近代主義やオリエンタリズム(の呪縛)を乗りこえることや、伝統と近代のなかにも、特殊もあれば普遍もあり、正と負の両側面が混在することなどの問題意識に基づくものである。そして同じ問題意識の延長線上で、現代東アジア三国における歴史の克服、近代の呪縛の超克といった思想課題を考える。

東アジア政治史研究

日本の大陸政策(朝鮮・「満州」・中国本土)の形成と展開に関する最新の研究成果を読み進めると同時に、それに関連する一次史料の読解力を涵養していく。ここ10年あまりの間に、日本の大陸政策に関する研究は急速に進展した。この講義では、まず第一に専門的な研究論文を受講者とともに読み進めていく。日本の大陸政策の形成過程を解明するためには、山県有朋、伊藤博文、桂太郎といった政治家・軍人の史料の読解が必須であるが、そのためには草書体(崩し字)の読解技術を修得しなければならない。研究論文を読み進める中で、関連する一次史料の読解もおこなっていく。

東南アジア政治研究

東南アジアの国際関係、国際政治に関する講義を行う。戦後の東南アジア諸国のナショナリズムと独立の過程、冷戦のアジアへの波及(朝鮮戦争、ベトナム戦争)、開発独裁体制と経済発展、民主化の動き、社会主義国の発展と変容などを学んだ後、1950年代以降の地域統合について考えていく。具体的にはASEAN(東南アジア諸国連合)の歴史や意義、課題、アジア太平洋の国際関係における位置づけがテーマとなる。

東南アジア歴史文化研究

東南アジア史に関する見方、歴史観、方法論に関し概観するとともに、東南アジア史研究が抱える論点・問題点を明確にしていく。また、そうした論点・問題点が現代東南アジア社会を理解する上で如何なる意味を持つのかを明らかにする。その上で、ミャンマー史を例に取りながら、具体的に東南アジア史の抱える課題と現代東南アジア社会理解との関連性を追究していく。

アメリカ市民政治論研究

アメリカ合衆国の市民文化について政治学的・歴史学的な理解を深めることを目的とする。アメリカ社会における市民理念を検討した文献を紹介するとともに、その著者のアプローチを使った分析手法を現代アメリカに適用した考察を行う。講義の前半では、アメリカ政治と政治史の基礎文献を紹介し、そのエッセンスを示す。後半では、前半に紹介したアプローチをもとに、現代社会における市民の位置づけを受講者の主体的参加を促しながら、ともに考えていく。

イギリス社会研究

かつての覇権国家であり、現代世界においても一定の影響力を保持しているイギリスの現状に関して、社会の成り立ち、文化の多様性などを多面的に取り上げ、現代世界のありように迫る一助とする。

国際協力研究

この講義では、国連や世界銀行といった多国間援助機関による援助に焦点を当てて研究を行う。具体的には、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界銀行の活動に焦点を当てて、開発援助と人道援助について考察する。なかでも、昨今注目されている「平和構築」を取り上げ、紛争後復興における復興から開発への移行における諸問題や、紛争の再発防止に向けての開発援助機関の取り組みについて、その課題と展望を研究する。

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