学部・大学院・付属機関等

論文要旨

法学研究科の学位請求論文(修士課程)要旨を公表します。

2023年度 2022年度 2021年度 2020年度

平成31年度 平成30年度 年度平成29年度 平成28年度 平成27年度 平成26年度 平成25年度 平成24年度 平成23年度 

2023年度

氏 名 川上 佐紀子
論 文

公務員の職位に基づく監督過失責任の検討

-各種事故における刑事責任を中心に-
要 旨 本論文では、行政機関における不作為の過失によって、一般市民への被害をどうすれば軽減できるかについて、刑法の管理・監督過失責任の考え方を利用し、事故の直接原因者だけでなく、その上層部の刑事責任まで検討できないかについて考察し、今後、公務員が業務を行う際に必要な注意を促すきっかけとなる提言をした。

氏 名 厳 昊
論 文 中国の廃プラスチック政策に関する研究
要 旨 本研究では、2000年代以降、市場経済のグルーバル化が加速化するなか、「世界の工場」と言われる中国の輸出産業の基盤となる廃プラスチック輸入と輸入禁止について分析した。中国の経済成長に伴う原材料の需要増加、廃プラスチックの輸入加工、廃プラスチック輸入量の推移、そして輸入禁止以降の政策変化(policy change)について中国統計局・関税局のデータ、国連商品貿易統計データ(UN Comtrade database)などを用いて記述的推論(descriptive inference)方法で考察した。

氏 名 萩原洋子
論 文

地域コミュニティのあり方に関する実証研究

―芦屋町の自治区における性質別・主体別・活動別の「負担」から―
要 旨

自治会は役員の担い手不足等の課題を抱えている。そのため、本論文では遠賀郡芦屋町の自治区を事例とし、区長・役員・組長の「負担」に着目したアンケート調査等から多角的な観点で課題分析を行い、自治会が持続可能な地域コミュニティとなるための論点を明らかにした。

この結果から得られた3つの知見は、地域コミュニティの実態把握を行うことの意義、地域コミュニティ活動の再検討の必要性、加入者間の合意形成の重要性である。

2022年度

氏 名 孫 大鵬
論 文

建物建築工事請負契約における下請負人から注文者に対する直接請求権の成否についての研究

― 最 (三小) 判 平成 5 年 10 月 19 日 民集 47 巻 8 号 5061 頁の分析を契機として ―

要 旨 本研究は、建築下請負人から注文者に対する直接請求権(建前等建築費用請求)を否定した平成5年前掲・最高裁判決を批判し、これを認めた原審に着目して同請求権の成立根拠・法的性質・妥当範囲を明らかにしたものである。前掲両判決の法律構成を確認し、直接請求権肯定の立場で論を進め、同請求権の成否・妥当範囲につき私見を示した。商法や破産法の観点も交え、①下請契約に建前帰属特約のない場合で、下請負人が報酬を支払われず、かつ、元請契約に出来形部分帰属条項のない場合、建前は下請負人所有に属する。②元請契約の条項は下請契約に影響を及ぼさない。③建設業法違反で当然に下請契約が無効となるわけではない。④元請負人破産や元請中途解除の際、下請契約は当然には解除されず、仕事完成部分は解除できない。以上を論証して、下請負人の直接請求権を一定範囲で認めるべきとした。

氏 名 桑山 隼人
論 文

学校現場における性的マイノリティの子どもの保護のために― ジェンダー・アイデンティティを守る権利からの考察 ―

要 旨 本研究は、性的マイノリティの子どもが学校生活の中で抱える困難の解消に向けて、法律学的、教育学的に考察したものである。特に日本国憲法13条に注目し、ジェンダー・アイデンティティが人格権の一部として保障されるべきだということをまず主張する。そのうえで、ジェンダー・アイデンティティを守る権利に基づいて、校則の法的位置づけを確認し、その在り方を検討する。さらに、学習指導要領等の改善点をも明らかにし、提言する。

氏 名 四ヶ所 壮汰
論 文

地方における若者活躍社会の構築―日本の若者会議の分析と下関若者会議の提案―

要 旨 本稿の目的は、地方に若者活躍社会を構築する上で若者会議が必要であると考える理由ならびに若者会議の有効性を日本の若者会議の分析を通じて示し、それを基に下関市に若者会議を提案することにある。若者活躍社会を構築するために必要と考える「若者会議」を日本にある8つの若者会議から分析し、現状を明らかにした。若者会議の分析と下関市の現状を基に下関市に必要な若者会議の形を考え、下関若者会議の提案を行った。

氏 名 張 靖晗
論 文 日本法における親族相盗例の法的性質と人的適用範囲について
要 旨 親族間の犯罪に関する特例(刑法244条)について、この規定が予定する不処罰範囲が現代の家族関係の実態に照らして広範に過ぎる点と、内縁関係や事実婚関係といった実質的にみて家族関係と同視できる生活実態がある者であっても適用を受け得ない事との矛盾を問題意識として、不処罰根拠を考察することを通じて、親族相盗例の適用範囲を再定位することを試みた。円滑な家族・親族関係の維持、継続のために、一定の財産罪について国家刑罰権の行使を控えて、家族や親族の間の自律的な解決に委ねるという政策的配慮が許されると考える。この観点からは、関係の維持を望む場合に限って不処罰とすべきであることから、この規定を「配偶者、同居の親族」に限定する親告罪に改正すべきであると結論した。さらに、婚姻関係になくても実質的に見て夫婦共同体と認められる実態がある場合には、この規定を類推適用すべきであると考える。

氏 名 沈 柳云
論 文

日本法における正当防衛の急迫性の判断基準について― 回避義務論の当否の観点から ―

要 旨 正当防衛(刑法36条1項)において、侵害の予期に基づいて積極的加害意思を持っていた場合に侵害の急迫性が認められるかが問題とされている。急迫性を否定する根拠とされるのが侵害の回避義務論であり、予期された侵害を回避しなければならない法的義務(回避義務・退避義務)を被侵害者に負わせる。しかし、被侵害者に回避義務を負担させる根拠は認められない。そこで、この研究では、急迫性について、公的機関による適時の救済が期待できるか否かを客観的事情に基づいて判断するべきであると結論した。

氏 名 朴 賛佑
論 文

再生可能エネルギー政策と地域活性化に関する研究― 地域経済価値循環モデルを用いて ―

要 旨

2011年の福島原発事故以降、化石燃料と原子力中心のエネルギー基本計画が見直され、2012年には再生エネルギーの固定価格取引制度が導入された。各自治体では関連組織や条例の制定、予算を確保し、地域経済循環と地域活性化に積極的に取り組んでいる。

このような背景から、本稿は、再生エネルギーがもたらす地域経済価値の創出と地域内の循環について分析した。具体的には「地域経済価値循環モデル」を分析枠とし、再生エネルギー販売利益の地域内循環、再生エネルギー設備・管理など関連産業育成、再生エネルギー推進システムと地域福祉との連携、学校・公共施設への設備、環境意識の向上、地域銀行の環境投資などの効果が実証分析できた。

2021年度

氏 名 保元 美波
論 文

芸術の自由を保護する重要性-萎縮の解決に向けて-

要 旨

本論文は、日本国内の芸術の自由の現状を昭和天皇コラージュ事件をはじめとした事例を元に示した。その上で、芸術の自由を手厚く保護する必要性について事例や法的根拠を用いて考察し、芸術の萎縮を防ぐための解決策を導いた。

本論文は、芸術の自由を保護することが、社会全体にとって必要不可欠である事を明らかにした。さらに、萎縮の防止を実現する上で、支援を含めた公的機関の果たすべき役割について示した。加えて、文化多様性概念の必要性と文化専門職の地位の確立の必要性を示すことができた。これにより、本論文は、文化多様性社会を実現し、より豊かな民主主義社会を構築していく糸口を示すものとなった。

氏 名 榊原清玄
論 文

フィリップ・ファン・パリースのベーシックインカム論の批判的検討―中立性原理の観点から―

要 旨

規範的ベーシックインカム(BI)論において最も影響力のあるフィリップ・ファン・パリースの議論は、人々が営む様々な生き方に対して恣意的な介入を政府は行ってはならないとする中立性原理を軸に展開されるものである。しかし、それにもかかわらずファン・パリースは中立性原理の具体的な意味とその原理の妥当性を明確に示さずただそれを前提としてBIの擁護を行った。それによってその議論は失敗していることを本稿で明らかにした。

氏 名 徐 乃正
論 文

特許医薬品の国際的保護と発展途上国における医薬品アクセスの充実

要 旨

本研究は、特許医薬品の国際的保護と発展途上国における医薬品アクセスの対立を前提に、発展途上国における医薬品アクセスの充実を中心にさまざまな解決策を検討した。第一章では、特許医薬品の保護と医薬品アクセスの矛盾を分析し、なぜ対立しているのかを明確した。第二章では、条約上の協調システムを検討した。主にTRIPS協定に関する条項を紹介した。第三章では、現行協調システムを検討した。国際条約以外の効果的な解決策を探すことが明らかにした。

氏 名 張 瑋
論 文

東アジアにおけるアニメ政策−中韓日比較研究−

要 旨

本論文では、東アジア3カ国のアニメ政策を比較し、アニメ政策(アニメ文化産業振興政策)の多様性を分析し、そして中国の政策発展のアイデアを生成することを目的とする。

具体的には、中韓日3カ国アニメ政策における政策手法を「規制手法」、「経済手法」、「情報手法」に分類した上で、それぞれ類型の政策手法を比較し、共通点と違う点をまとめて、各国のアニメ政策の歴史と特色を解明し、適切な政策方針を示す。そして中国アニメ政策はいかに改善すれば、発展できるのかを研究する。

2020年度

氏 名 安 昌 晛
論 文

少年非行防止のための少年補導員制度とその課題に関する研究

要 旨

本研究は、犯罪抑止、特に少年の非行防止対策の実施における市民参加の機能、とりわけ行政委嘱ボランティア制度である「少年補導員」制度の課題に焦点を当てて、民間ボランティアである少年補導員とは何か、警察とはどのような関係にあり、どのように協力し合っているのか、その実態を、先行研究やインタビュー調査による事例研究を通じて明らかにした。

氏 名 許飛
論 文

現代消費者が求めるショッピングモール

−ショッピングモールのサードプレイス性についてー

要 旨

本研究は、ショッピングモールが社会生活のインフラとして「サードプレイス」としての性格を帯びたものだと、ショッピングモールの運営側の経営戦略において構想され、利用者にも「サードプレイス」の要素を持つ施設としてショッピングモールが認知されていることを、文献調査、アンケート調査、そして参与観察によって実証的に明らかにした。

氏 名 大丸 幸
論 文

地域包括ケアシステム機能不全回避のための方策:北九州市を事例として

要 旨

本稿は、地域包括ケアシステムが、目的に応じた支援やサービスを効果的に提供する制度として運用し得る要素・要因を探索し、機能不全に陥らないための方策を実証的に論究したものである。北九州市を分析対象とし、リハビリテーション職へのアンケート調査や地域福祉推進課等への聞き取り調査により、①地域ケア会議運営の専門職団体への委託、②地域医療と地域包括ケア一体化のための診療報酬費の新設、③地域包括支援センターの規程3職種の見直し、④地域包括ケア主管課の総合的役割の具現化、⑤人材育成のための教育現場での普及啓発、という5つの具体策を導き出した。

氏 名 西村 和浩
論 文

「国民の家族である外国人」の法的地位
―憲法論における「外国人の人権」論の精緻化への序論―

要 旨

本研究は、日本で生活する外国人のうち「日本国民の家族である外国人」を特別の保護を要する類型として析出し、その類型に属する外国人に対して、入管法上「在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利」が保障されうることを論証しようとするものである。また、外国人が日本国民との間に有する関係性に着目し、それに応じて外国人の態様を類型化してそれぞれに保障される権利を考察することによって、憲法学における従来の外国人の人権論を精緻化する端緒とすることを目指している。

氏 名 武  芳
論 文

中国の大気汚染政策の執行過程に関する研究
   ―京津冀地域を事例として―

要 旨

京津冀(北京市、天津市、河北省) 地域は、中国で3番目に大きく、地域総生産(GDP)も全国約40%以上である。しかし、この地域は、急速な経済成長、公害産業型の産業構造、石炭中心のエネルギー政策によって、環境汚染が深刻になった。そのため、中央政府は、「大気汚染防止行動計画」、「大気汚染防止法」、「第13次五カ年計画生態環境保全計画」、「青空保護戦勝利行動計画」等の政策を執行している。その結果、大気汚染は改善されているものの、依然として深刻な状況である。
以上の問題意識に基づき、本論文では、京津冀地域の汚染問題、大気汚染政策の決定、執行過程について分析した。また、京津冀地域における政府間関係、政策執行過程、政策効果(汚染改善)について考察した。
研究の結果、中央政府と地方政府との関係、圧力型執行方式、執行機関の財政権、執行権限の不十分さ、地方政府の政策優先順位・政策選好(地域経済優先)、環境規制コスト負担、産業構造(汚染産業構造)、産業の地域配置(北京から河北省への移転)、石炭エネルギー生産の問題が明らかになった。

平成31年度

氏 名 王 延
論 文

中国での大気汚染に関する政治経済的な研究

―火力エネルギー政策・政策決定システム・産業構造に焦点をあてて―

要 旨

中国の大気汚染は深刻な状況であり、多くの大気汚染対策が実施されている、にもかかわらず、大気汚染は依然として大きな問題である。そのため、本研究では、大気汚染防止政策の実効性問題について、火力エネルギー政策、政策決定システム、産業構造といった政治経済的側面から分析した。その結果、化石燃料の高比率、公害型の産業構造、汚染企業の移転、政策決定システムなどの問題は、汚染改善政策の低い実効性の要因であることが明らかにされた。

氏 名 坂口 弘樹
論 文

終末期医療における意思決定に関する法整備についての考察

要 旨

本研究は、終末期医療の現状について分析及び検討を行い、「終末期医療を受ける患者の公正な自己決定機会とその決定の実現のための環境整備」に向けた有用な制度提案を行おうとするものである。具体的には、患者が行う終末期医療に関する意思表示について必要な要件の検討を行った上で、それら要件を具備する意思表示が法的効力を有し、医師や医療機関がそれを履行する義務を負うことや、患者本人の意思表示が不能になった場合の治療方針に関する最終的な決定権者を定めることを含む制度を提案する。

平成30年度

氏 名 中村 蘭
論 文

来日ベトナム人犯罪の現状と対策

要 旨

最近、新聞やテレビで来日外国人犯罪が取り上げられることが多いが、その中でも来日ベトナム人犯罪に関するものが最も多い。この数年、技能実習や留学などの資格で来日したベトナム人が増加しているが、しかし入国後、日本とベトナムの制度、法文化の違い又は経済的動機などの原因で「入管法違反」や窃盗などの犯罪を犯すケースも多い。このことは社会治安へ悪影響を及ぼしている。

本研究は、来日ベトナム人犯罪者が、どの程度日本のことを認知しているか。なぜ、彼らは家族とも離れた異国の地で不法残留や窃盗などの犯罪者になってしまったのか。彼らが保持しているベトナムの規範文化と日本の規範文化とがどのように衝突し、その文化葛藤が犯罪行為とどのように関連しているか、また、日本社会についてはどのような原因でベトナム人犯罪が生じるのか、そして来日ベトナム人犯罪に対する刑事政策的対応策について、分析検討した。

氏 名 蔡思宇
論 文

外国人技能実習制度の方向性―韓国との比較―

要 旨

本論文は、技能実習制度において多発している不正行為問題を念頭に、技能実習制度と韓国の雇用許可制度の歴史的経緯と問題点を比較し、技能実習制度の改革の方向性について検討を加えたものである。職場移動の禁止と不透明な受入れ体制が、不正行為の原因であることを指摘し、技能実習制度の改革には、受入れ優良企業認定制度を整備し、国家の関与の下に優良企業への移動を保障すること、監理団体や実習生への助成金スキームの創設、受入れの透明性を高めることが必要であり、これにより不正行為が解消される可能性が高いことを明らかにした。

氏 名 梅本 昌幸
論 文

地方公共団体における情報セキュリティに関する法的考察

要 旨

本研究は、「情報の機密性・完全性・可用性」という基本概念によって成り立っているとされる情報セキュリティを地方自治体が適切に確保する上でどのような課題があるかを抽出し、それらの課題への法制度的な対応策を中心に検討するものである。これまで個別分野での研究や主に技術的観点からの検討は見られたものの、情報セキュリティの確保という観点から自治体の情報法制を検討した研究はみられないため、個別分野も視野に入れながら情報法制全体を情報セキュリティの観点から検討した点にその意義がある。

平成29年度

氏 名 川上 和繁
論 文

小規模閉鎖会社における共同相続株式の株主権

要 旨

本稿は、小規模閉鎖会社において、大株主に相続が発生した場合に、共同相続された株式が、個人に帰属するまでの間、その共同相続された株主の権利は、どのように行使されるべきか検討したものである。判例によると、その株主権の行使は持分の過半数の者によって選定された権利行使者一人によって行使されることになるが、少数持分権者の権利が常に無視されることを疑問とし、少数持分権者の擁護の方法について検討したものである。

氏 名 金鍾煥(キム ジョンファン)
論 文

地域資源を活用する地域活性化に関する考察

―再生可能エネルギーを中心としてー

要 旨

日本では人口減少や地域経済規模の縮小等のため、地域活性化政策を積極的に実施しているが、その効果はあまり期待できないものになっている。本研究では、再エネを中心とした地域活性化について福岡県みやま市と長野県飯田市を研究事例とし、環境的側面、社会的側面、地域経済効果を分析した。その結果、再エネを導入することで「エネルギーの地産地消」による地域活性化が可能であることが分析できた。

氏 名 レーベトドック
論 文

日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA)と原産地規則

―原産地証明制度の比較検討を中心に

要 旨

本稿は、日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA)では、今後、どのような原産地証明制度が採られるべきかについて検討する。各国の企業が特恵関税率を適用するためには、産品が当該原産品であることを証明する必要があるが、その証明手続きは各EPAによって異なっている。日本が締結する他国とのEPAを比較検討すると、3つの原産地証明制度が採用されていることがわかる。第三者証明制度、認定輸出者証明制度及び自己申告制度の3つである。各原産地証明制度のメリット・デメリットを明らかにするとともに、JVEPAの将来についての検討を試みた。結果、環太平洋パートナーシップ協定では、自己申告制度の採用が予定されているが、日本とベトナムとの関係においては同制度を採用するには時期尚早であり、JVEPA等においては、まずは認定輸出者制度を併用的かつ緩和された条件の下で導入することが望ましいとの結論を導いた。

平成28年度

氏 名 濵口 一雄
論 文

海洋法における船舶の地位 

 ―非自航作業船の問題を中心に―
要 旨

本稿は,海洋法における船舶とは何か,また船舶にはどのような地位が与えられているかを明らかにしたうえで,一般に非自航作業船に対し船舶としての地位が認められていない現状から,国際法上,また国内法上,現実にどのような問題が生じつつあるかについて論じている。国際海洋法の現状や,日本の船舶法制定からの沿革を踏まえた船舶の定義についての考察,非自航作業船を規制の対象とする国際条約等についての分析,非自航作業船の各国国内法における管轄権行使に係わる実定法に関する現状も交えての比較分析等を通じ,問題点を整理したうえで,最終的に非自航作業船を今後の海洋法秩序の中にどのように位置づけて行くべきかについて考察する。

氏 名 久井田 楓
論 文

高齢者の見守りの現状と課題

〜北九州市の事例を中心として〜

要 旨

今まで高齢者を見守ってきた担い手のそれぞれで見守りを続けていく上での問題が生じている。そこで、政令指定都市で最も高齢化が進む北九州市ではどのような見守り活動が行われているのか研究した。北九州市独自の取組み「いのちをつなぐネットワーク」について取り上げ、更に北九州市の3つのコミュニティに着目し、住民レベルでの見守り活動について聞き取り調査を行った。調査の結果から、ICTの活用と民間企業の参入、行政の踏み込んだ対応、地域でソーシャル・キャピタルを高めていくこと、以上の3つを今後の課題として導き出した。

平成27年度

氏 名 橋山 和矢
論文題目

丸山眞男の「共同体的功利主義」概念について

〜戦時期日本の政治文化を読み解く〜

要 旨 本論文は、先行研究ではほとんど触れられてこなかった、1960年代から1970年代にかけて丸山眞男自身の思想史研究のなかで論じられていた「共同体的功利主義」という言葉を通して、1930年代から40年代にかけて現れた戦時期日本の政治文化を読み解き、いままでの政治文化とは異なる見方を目指すものである。具体的には、いままで唱えられていた戦時期日本の強力な国家指導体制であったという考えとは異なる見方を示すものである。

氏 名 石橋 正光
論文題目

選挙ポスターの実証的研究

―送信側と受信側、双方からの分析

要 旨 選挙における候補者は選挙ポスターをどのように作製し、市民はそれをどのように認識、評価しているのか。本稿は選挙ポスターの役割を、発信者側の候補者と受け手側の市民の両方から実証的に分析したものである。データは、福岡県議会議員選挙で実際に使用された全131枚の選挙ポスターを実測したものと、被験者を使っての実験・調査の結果から成る。データ分析から得られる結果は次の通りである。(1)候補者は当該選挙区の制度、環境、候補者個人の属性によって、記載情報を決めている。(2)受信者である市民の認識、評価については、作製側の候補者が強調する情報と、市民が見たいポスターの内容との間にギャップがあること、(3)選挙ポスターには、市民が候補者に対して持つイメージを変化させる改変効果があり得る。

氏 名 井上 幹
論文題目

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の限界

―特別養護老人ホームの増進に向けて―

要 旨

日本の社会において昨今の出生率の低下や長寿化の進展により人口の高齢化が急速に進んでいる。

国家の基幹事業として登場した定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間対応の訪問介護と訪問看護の介護サービスを組み合わせた仕組みを広く普及させることで、中重度の要介護者であっても特別養護老人ホームなどの施設への入所ではなく、住み慣れた地域で安心して暮らすことを可能とし、居宅介護の原点を高めていくことを追求したが、実際には特別養護老人ホームの待機者問題、老々介護問題、高齢者の孤独死、介護離職問題、介護の貧困ビジネス等の様々な問題が社会問題として、山積みとなっているのである。特別養護老人ホームの待機者に対して定期巡回・随時対応型訪問介護看護が成り立ってない為、介護離職者を生み、介護者として離職できない家庭は、老々介護、高齢者の孤独死、貧困ビジネスへの依存とリンクしていくのである。介護保険制度の理念である「介護問題について社会全体で支える仕組みをつくることにより介護不安を解消して安心して生活できる社会をつくるとともに家族等の介護者の負担軽減を図る」ことが実現されていないのである。

この現状を打破する為にも、特別養護老人ホームを増設しなければいけない。そして特別養護老人ホームは社会福祉法人だけでなく、民間企業参入も考慮すべきである。介護保険制度創設前後から介護事業所に参入している民間企業などの実績のある業者に特別養護老人ホームの参入を促してみてはどうか。

氏 名 周 連欣
論文題目

中国のエネルギー政策過程に関する研究  

―アクターの構造とその利害関係を中心として―

要 旨

本研究では、政策ネットワーク(Policy Network)モデルを分析枠組みとし、中国のエネルギー政策における「政策アクター(Policy Actors)」、「アクター間の相互作用(Interaction)」と「そのメカニズム」について分析することを目的とした。具体的には、「中国の経済発展に伴う政治構造の変化」、「政策参加者のネットワークとその相互作用」に着目し、参加者の用いる政策目標(Policy Mission)、政策資源(Policy Resource)、政策戦略(Policy Strategies)からその相互作用を分析した。

 本研究の結果、中国では、政策目標や利害の調整において、「党組織との関係 (关系guanxi) 」が政策資源であると同時に、政策戦略であり、それが政策ネットワークで「実質的な影響力」であることが検証された。

氏 名 徐 磊
論文題目

中国の小学校課程の環境教育の現状と課題

          ―廃棄物問題(ゴミ問題)を中心として

要 旨

中国経済の急速な発展と伴に環境破壊や廃棄物処理問題は今後大きな問題になってくると予想される。これらの問題に対応するためには、国民の環境意識を高揚させなくてはならない。特に、早急に小学校教育に環境教育が位置付けられる必要性がある。本稿は現在中国の小学校で行われる環境教育の事態を紹介したい。また、筆者は独自考案の環境教育の授業を実際に中国の小学校で実施し、今後中国で行われる環境教育の展開について考えてみた。

氏 名 馬 起
論文題目

中国における≪環境保護法≫改正とその影響

 ―2015年法改正を中心として―

要 旨

本論では、2015年に中国≪環境保護法≫改正を中心に、その背景と影響を論じた。1989年に≪環境保護法≫が制定されたが、2015年には大きな改正を見た。なぜ今改正されたのか、その理由を内的要因と外的要因を分けて説明した。≪環境保護法≫第58条は環境公益訴訟の主体を社会組織と規定しており、その理由に言及するとともに、実際の環境公益訴訟の事案を紹介し、環境NGOの活躍領域を分析、今後の環境公益訴訟の発展の見通しを論じた。

氏 名 堀川 直路
論文題目

生存権と生活保護法における稼働能力活用要件

要 旨

本稿では、日本国憲法25条は「保護を受けながらでも自己決定をする権利」を保障しているという立場から、生活保護法4条1項における能力活用要件の合憲性を検討し、同条項が合憲的に運用されるための条件を考察した。その上で、同条項に関する判例及び学説を検討して、能力活用要件の憲法適合的解釈として、就労拒否者に対しても保護を実施した上で就労支援を行うべきことを論じるとともに、就労支援の必要性を論じた。

平成26年度

氏 名 松村 英生
論文題目

旅行業法の変遷とその社会的背景の研究

要 旨 旅行業法は、数回の大改正を経て今日に至っている。本稿は、過去の改正は、旅行者と旅行業者間の損害賠償請求を内容とする裁判例、国会議員の発言、旅行業協会に寄せられた苦情やその他の法律に起因していたことを明らかにした。更に今後、旅行業法が改正されると仮定した場合、近年の裁判例等の影響に加えて、観光立国推進基本法から影響を受けて改正されるという改正過程もあり得るということを主張した。そして、旅行業者も観光庁の重要政策である「観光立国」の担い手となる新しい道筋を明らかにした。

氏 名 井上 雅俊
論文題目 日本の再生可能エネルギー政策に関する研究
―「政策パッケージ」を用いて―
要 旨 福島原子力発電所の事故以降、再生可能エネルギー政策の議論が高まり、2012年より支援政策として固定価格買取制度が施行されている。しかし、設備導入が太陽光発電に集中しており、電力会社による電力の買い取りが保留されるなど問題が発生している。本論文は欧州の政策事例から、日本の固定価格買取制度の実効性について、法規制、経済的インセンティブ、政策基盤手段などの政策パッケージの視点から分析する。そして、日本の再生可能エネルギー政策には、どのような問題点があるかを明らかにする。
氏 名 藏園 徹
論文題目

詐欺罪における損害概念の研究

要 旨 本稿は、詐欺罪について、平成12年3月27日最高裁判決で詐欺罪が成立するとした理由を検討することを端緒として、簡易生命保険証書の財物的価値の特性を確認しつつ、財産罪である詐欺罪が保護をしている客体は、財物なのか、利益なのか、経済取引の目的なのかを考察する。そこには、ドイツ刑法との損害概念の違いがあり、判例および学説において多岐にわたる議論があり、日本の刑法での「損害概念」に関する議論に影響を与えること大であった。単なる財物や利益の交付によることで直ちに詐欺罪の成立を肯定するのではなく、財産罪の特徴は、経済取引の中で発生するところに注目し、損害の中身を経済取引という観点のもとで細分化する必要がある。本稿は、研究対象である保険契約における保険証書を経済的取引の観点から考察し、詐欺罪が成立しないことを主張するものである。

平成25年度

氏 名 高橋 美幸
論文題目 電子情報の不正取得に対する刑法上の保護について
要 旨 本稿は、電子情報の不正取得行為に対する窃盗罪の可罰性を考察する研究である。物概念の歴史的考察、またドイツ刑法との比較法的な考察に基づき、単なる物の存在ではなく、所有者、占有者との関係性のなかで目的物の法的保護を認めるべきことから物理的管理可能性説を支持する。そして、電子的手段により作成・変更・保存・消去できることを根拠に電子情報の管理可能性(=財物性)を認める。そのうえで、独占的利用価値の減少に基づく法的移転性を電子情報に認めて、その不正取得に対する窃盗罪の可罰性を主張するものである。
氏 名 古谷俊雄
論文題目 児童養護施設の養育に関する憲法学的考察―子どもの人権と養護―
要 旨 本論文は、児童養護施設の養育に関して入所児童の人権を考察したものである。従来、子どもの人権については、保護か自律か、もしくは両者を統合的に把握する形での議論が中心であったが、ここでは、人と人との関係性の意義を踏まえた「豊かな関係」を保障するべきとする新しい人権論を展開した上で、子どもの成長・発達には、身近な大人を始めとした多くの人との信頼・応答的関係が重要であることを論じる。
氏 名 内田充範
論文題目 生活保護行政における自立支援プログラムの現状と課題に関する研究
要 旨 生活保護自立支援プログラムの現状と課題を分析するために、組織としての福祉事務所、実践者としての生活保護ケースワーカー、査察指導員、就労支援員、利用者としての被保護者を対象とするアンケート調査と聞き取りを行った。その結果から、自立支援プログラムの実施が生活保護行政の効率性、生活保護ケースワーカーのソーシャルワーク機能、被保護者の意欲を向上させることを明らかにするとともに、ソーシャルワーク理論に基づいた支援、ボトムアップ的組織体制の構築、チームアプローチによる重層的支援の必要性を提示した。
氏 名 大原 健聖
論文題目 現代政治におけるリーダーシップの発揮の要件とは何か。
要 旨

現在の日本政治は政治不信を招いていると言われる。そうした中で首相のリーダーシップがこれまで以上に期待されるようになってきた。

 本稿ではリーダーシップの要件として①制度(規則的制度、手段的制度)、②資質、③環境を挙げる。首相はまず、自らに権限を集中させる制度が求められる。その上で自らの置かれた環境に対して、個人の資質に基づいて適切に政治資源を投入し、手段的制度としてアウトプットする。このようにしてリーダーシップを発揮するのである。
氏 名 大赫
論文題目

再生可能エネルギー普及政策に関する比較研究

-日韓の供給義務割当制度(RPS)を中心として-

要 旨

球温暖化による環境問題や自然災害等が増加しているなか、2011年起きた福島事故は世界各国の再生可能エネルギー(以下RE)政策を促進する起爆剤になっている。多くの国では、RE普及政策として供給義務割当制度(RPS: Renewable Portfolio Standard)、固定価格買取制度(FIT: Feed-In Tariff)などが施行されている。

しかし、この二つの制度の実効性については国ごとに相違がみられ、一様ではない。この相違は政策設計の何から生み出されるのかといったリサーチ・クエスチョンに基づき、本稿では日韓のRPS制度を事例とし、「RE普及は、RPSFIT制度を施行する際のエネルギーの市場の状況、電力システムの構造、普及目標によって異なる」という仮説を検証した。また、この検証結果を踏まえ、最終的に持続的にRE普及が可能な制度の枠組みを提言した。

平成24年度

氏 名 上田 春香
論文題目 日本における児童虐待の現状、原因、およびその対策
要 旨 本論文では、わが国における児童虐待に関する公式統計を利用して現状を分析し、理論的にはアメリカの先行研究を包括的に検討した上で、児童虐待防止法を中心とする法的対応策の特徴や問題点を検討した。結論として、児童虐待は多元的要因により発生しており、虐待を説明する理論としては「社会的学習理論」が最も有力な理論的視座であることを見出した。児童虐待防止法については問題点も多く、特に初期介入に関してさらなる改正が必要であるように思える。
氏 名 仰 木  公 一
論文題目 デンマーク・コペンハーゲンにおける環境・エネルギー政策の研究
―原発拒否運動・風力発電・人々から、日本が学ぶべきこと―
要 旨 本論文は、第1章デンマークの原発拒否運動、第2章風力発電、第3章デンマークの人々、第4章日本が学ぶべきこと、の四つの章で構成される。第4章では、デンマークから学び、脱原発国家実現の国家方針の宣言、洋上風力発電ファームの検討、スーパーグリッド敷設実現、再生可能エネルギー発電技術のトップ水準化と技術移転やODA支援、「共生の精神」を活かす教育の在り様の検討と、五つの政策提言を行うものである。 
氏 名 河島 健
論文題目 直方市水害頻発地区における地域コミュニティの状態と災害時の人的被害のリスクの関係
要 旨 ハード的防災に限界が見えた今、災害から身を守るには避難をする必要がある。本論文では平成24年7月に直方市で発生した水害を事例として、自治区会長へのインタビューをもとに地域コミュニティにおける人のつながりの強さと、災害時の避難の仕方にどのような関係があるか明らかにする。直方市では上境、下境一区、感田二区でどれも床上浸水がありながら救助された人の数に大きな差が出たため、この三地区を比較する中での証明を試みる。
氏 名 勘木 康子
論文題目 憲法24条の再検討
要 旨 本稿は、従来「役割を終えた」と評価されている、憲法24条の価値を問いなおす研究である。本条は憲法14条の他に、唯一「平等」の文言を持つ条文である。このような本条の価値を再度見直すべく、本条の制定過程を概観し、本条に関する学説を整理したうえで、本条の法的性格、及び憲法適合的な「家族」観について考察し、実定法(特に民法・社会保障法)上の諸規定がこのような憲法上の要請を満たしているのかについて検証した。
氏 名 永野 理絵
論文題目 教員免許更新制の政策過程分析
要 旨 教員免許更新制に関する研究の多くは制度評価や制度の提言に焦点を当てたもので、政策過程に注目した研究は僅少である。また、分析の視座となる理論が示されていないなど、研究の科学性の面において克服すべき課題が残っている。本稿は、2000年から2007年にかけて行われた教員免許更新制導入の政策過程を、政策過程論の分析モデルである「政策の窓」モデルを適用して分析し、教員免許更新制がどのように形成され決定に至ったのかという政策形成過程を明らかにした。
氏 名 山本 誠己
論文題目 ライフコース犯罪学におけるデシスタンス研究の意義と課題
要 旨 本稿では、ライフコース犯罪学におけるデジスタンス研究の意義と課題を、国内外の文献に基づき分析・検討した。本研究の出発点として、まずは、学説史に基づき、既存理論の統合、個人の犯罪行動の収束局面への注目、政策や実践における応用可能性というデジスタンス研究の意義を指摘した。さらに、ラウブとサンプソン、マルーナ、ジョルダーノらの主要研究を、社会構造的要因と主体的行為能力の二つの軸から分析し、その双方に対応した政策の重要性を指摘した。最後に、再犯率の上昇という近年の犯罪情勢に鑑み、日本においても、時代背景や文化的側面を踏まえ、研究デザインを洗練させた自前の研究が必要と提言した。

平成23年度

氏 名 安藤 永也
論文題目 祭りが中心市街地活性化に与えた影響
―大分県臼杵市の「うすき竹宵」の事例から―
要 旨 本論文では、大分県臼杵市の「うすき竹宵(たけよひ)」という近年始められた祭りが、中心市街地活性化にどのような影響を及ぼしたのかについて論じた。臼杵市では、うすき竹宵という祭りをきっかけにして、町並みや歴史的資源への関心が高まるとともに、従来とは異なる新たな人間関係が形成された。それによって、中心市街地活性化事業が円滑に進むことになった。その結果、中心商店街の空き店舗率が改善するなど中心市街地活性化につながった。
氏 名 井上 秀雄
論文題目 日本国憲法第10条と日本国民の形成
要 旨 日本国民の形成に関して、近世からサンフランシスコ講和条約までの国籍法制・戸籍法制の沿革を辿るとともに、植民地統治下にあった植民地出身者の日本国民(臣民)への包摂の過程と、戦後の日本国民からの排除の過程を検証した。そして、日本国憲法10条を中心とする憲法・国際法的規律を踏まえて、サンフランシスコ講和条約後の日本政府による旧植民地出身者の日本国籍喪失措置に関して検討した。
氏 名 本田 博之
論文題目 現代の所有概念理解の為の予備的考察
―末川博博士の見解を素材として―
要 旨 所有とは何かと問われたとき、その典型的な答えは、所有者が所有権を以て物を自由に使用収益処分することであると言える。しかし、質権にも見られるように、所有者が居ながらも物を自由に利用出来ない場合があり、典型的な説明では所有を語りきれない。そこで本稿は、末川博士の見解を素材に、権利主体・客体及び権利そのものから所有概念を探究した。そしてこの方法論を以て、所有問題解決の為の糸口を呈示することを目指した。
氏 名 西  重機
論文題目 捜査現場から見た暴力団対策と今後の課題
要 旨 本研究は、第二次大戦後から現在も続く暴力団対策について、その経過と現状を検証し、加えて筆者の現場経験を踏まえて、より効果的施策について提唱することを目的とした。このために、警察白書等の法執行機関の文献資料はもとより、暴力団・ヤクザ研究に携わった諸外国の学者・ジャーナリスト等の先行研究を主として分析・検討した。その結果、筆者は 法整備上の課題、捜査体制の整備、捜査員の育成問題の三点について提唱するに至った。
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