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北九州市立大学

正解は一つではない。
だからこそ
探求し続ける。

文学部
人間関係学科
山下 智也 准教授

山下 智也 准教授

研究の魅力

 私の研究のテーマは、「子ども主体の遊びを支える大人の関わり」についてです。子どもが主体なのに大人が関わると言うと、矛盾したような表現に聞こえるかもしれません。しかし、そんな矛盾の奥に価値があると考えます。
 そもそも子どもの遊びの世界に大人はいませんでした。しかし、放課後を忙しく過ごし、異年齢で群れて遊ぶ機会も減り、自由に遊べる空間も限られるなど、子どもの遊び環境の厳しさは深刻です。とはいえ、大人が介入し過ぎると「子ども主体」が揺らいでしまうし、放任し過ぎると現状は悪化するばかり…。関わり過ぎず、引き過ぎず、絶妙のバランスで「子ども主体の遊び」を育む大人の存在・関わりが見出せれば、子どもが子どもらしく過ごせる世界が保障できるのではないでしょうか。
 きっと正解は一つではありません。だからこそ探求し続ける。そんなプロセスこそが、研究の魅力だと私は感じています。

研究の源

 これまでの私の足跡を振り返ると、数多くの子どもとの出会いがありました。「どこで遊べばいいの?」と涙を流して嘆いた子もいれば、いじめと必死に向き合い続けた子もいました。学校とは違う生き生きとした姿を見せた子もいれば、この場を居場所として本来の力を取り戻した子もいました。全ての子どもとの出会いと関わりのプロセスが(これから出会うであろう子どもも含め)、私の研究の源です。

研究の未来

 「子どもの現場での実践知を昇華し、他の現場にも生かせる転用可能性を帯びた知見にしていくこと」。それが、実践と研究の両輪で歩む実践的研究者の責務だと感じています。その営みは、現場で奮闘する実践者のみならず、今を生きる子どもたちの声を代弁することに繋がると信じています。

ゼミのイチオシ

 “子どもと環境”ゼミでは、それぞれが実践現場へのフィールドワークを行い、そこで得たエピソードを元にみんなで対話を重ねています。ゼミメンバーみんなでお互いの研究を育んでいくといった感じでしょうか。もちろん“遊び心”も忘れていません。誕生日会をサプライズで企画したり、自由気ままなゼミ旅行に出発したり…、そんなアットホームな雰囲気も、このゼミの魅力です。

先生のイチオシ

公園を汗だくで駆け回ってみたり、けん玉やゴム跳びに没頭してみたり、気の向くままに絵を描いてみたり…、自分の“遊び心”を解放してみませんか?きっとその姿が、子ども主体の遊びを引き出してくれるでしょう。

オフショット

2歳と1歳の子育て真っ最中です!子どもの研究をしていても、セオリー通りにいかないのが子育てです…。でも、だからこそ、楽しい!我が子とともに遊びなおしている、そんな感覚が心地よいですね。

Profile

山下准教授
プロフィール

山口県長門市出身。教師だった親の背中を見て育つも、自分の将来像をはっきりとは描けなかった高校時代。人に関わる仕事がしたいことには違いないと気づき、“まずは人のことを知ろう!”と、教育学・心理学を学べる道に進みました。自分のしたいことを自分の責任でとことん追求できる大学という世界が性に合ったのか、そのまま大学院に進学し、自身の関心も子どもの遊びや育ちへと絞られていったのですが、子どもの研究をしようとしているのに、自分の住む地域の子どもに知り合いがいないことに違和感を覚えます。そこで、“子どもの友達をつくろう!”と思い立ち、商店街の空き店舗にあった研究室の分室を拠点に、2004年7月に日常的な子どもの遊び場「きんしゃいきゃんぱす」を立ち上げました。地域の子どもたちと毎日のように戯れながら、多様な子どもの生と向き合い、その実践から得られた手応えを研究へと昇華させていくことが自分自身のライフワークとなり、2010年に博士号(人間環境学)(九州大学)を取得。“この場を開け続けたい!”という思いがさらなる原動力となり、この実践を継続できる仕事として、現在に至ります。今振り返ると、“素朴な一歩”が自分を次のステージへと結ぶ“大きな一歩”となっていたようです。

山下准教授イラスト

文学部Faculty of
Humanities

  • 比較文化学科 生住 昌大 准教授
  • 比較文化学科 門田 彩 准教授
  • 人間関係学科 山下 智也 准教授
  • 人間関係学科 田島 司 教授
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