北九州市立大学図書館

オフショア化する世界 ――人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?

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著者・編者名
ジョン・アーリ(著),須藤廣・濱野健(監訳・翻訳)
所属(学部)
文学部人間関係学科
発行年月
2018年 9月
出版社名
明石書店
内容
いまや世界の隅々までが一つにつながり、「フラット化」も同然のグローバルな社会。そうした新たな時代の到来とともに、「格差」こそが利益をもたらし、資本の集積に結びついてきたとする資本主義社会ははたしてどのような変化を遂げつつあるのか、本著ではこうしたグローバルな時代の資本主義社会の再編成を、私たちの日常生活のありとあらゆる側面に存在している諸制度の「オフショア化」を手がかりに論じる。「オフショア化」とは、グローバル社会でいまも重要な役割を担う「国民国家」の間に生じる経済・権力・情報の不均衡な配分または「格差」を利用し、特定の国家に所属する国民や、あるいはわずかに限定されたグローバルな私的企業にのみ、「安全」と「資本」に支えられた特権的な社会をもたらす。他方、こうした特権的な社会の再生産の過程で、「リスク」や「格差」といった社会の負の側面は、国境の彼方の(あるいは国民の目の届かない)「見えない」領域、すなわち「オフショア」へと遺棄される。様々な事例検証に基づき、著者は今日のグローバルな不平等社会の礎となりつつある「新自由主義」こそがこうした「オフショア化」を正統化し、再生産し続ける要因となっていることを批判し、こうした新しいグローバル時代の社会理論を示すのみならず、脱「オフショア化」にもとづく社会正義の実現と公正な社会の実現に向けた可能性をとりあげる。

※図書の画像は出版社から許可をいただいて掲載しています。

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