Formula SAEとは

 1980年代、アメリカのヒューストン大学でアメリカ自動車技術会(Society of Automotive Engineers )の主催で初めて競技会が開催されました。『ものづくりによる実践的な学生教育プログラム』として机上の論理では優秀なエンジニアは育たないと感じたSAEは学生の創造性を生かした車の開発、設計、製造、競技まですべてを学生が行い、技術力、創造力、チームマネジメントなど様々な観点で総合的に判断し、競わせる場を与えました。今では100校を超える大学チームが参加する盛大かつ国際的な大会になっています。その取り組みを日本・オーストラリア・ブラジル・ドイツ・フランス・イタリア・韓国なども取り入れ世界各国に広がりました。日本では我々が参加する全日本学生フォーミュラ(自動車技術会主催)として、2016年には第14回が開催され100以上もの学生チームがエントリーしています。

学生フォーミュラ日本大会2019集合写真

学生フォーミュラ日本大会2019集合写真

 

大会の概要

 毎年9月に静岡エコパで開催されている全日本学生フォーミュラ大会ではFSAEの理念に則り、全日本学生フォーミュラ大会では、車の開発、設計、製造などコストの管理など、すべてを学生自身が行います。社団法人自動車技術会が主催しており、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業をはじめ多くの自動車産業業界からスポンサーがついており、注目度が高く、そして未来の人材の育成に力を入れていることが伺えます。学生フォーミュラに参加する学生には『自主的なものづくりの総合能力を養成し、将来の自動車産業を担う人材になる』ということが求められています。

 

ルール

 車検、静的審査、動的審査の結果、1000点満点で順位を決定します。競技車は学生が企画、設計、製造したもので、FSAEの規定を満たすものでなくてはならず、前年の大会に参加した車両のフレームは使用不可となっています。

学生自らが1年間でフォーミュラスタイルの小型レーシングカーを開発・製作することによって、学生がものづくりの本質やそのプロセスを学び、ものづくりの厳しさ・おもしろさ・喜びを実感することができます。

 

車検

以下の5つの項目を検査します。

①車両の安全・設計要件の適合

②ドライバーの5秒以内脱出

③ブレーキ試験(4輪ロック)

④騒音試験

⑤チルトテーブル試験(車両45度傾斜で燃料漏れ無し。ドライバー乗車し車両60度傾斜で転覆しない。)

 

静的審査

競技種目 競技内容 配点
コスト 事前に提出したコストレポートのコスト精度、チームによる製造 度合等を 確認し、レポートのコストと車両との適合を審査する。 100
プレゼンテーション 『審査のコンセプトに沿い、製造会社の役員に設計上の優れていることを確信させる』という仮想のシチュエーションのもとで行う。 75
デザイン 事前に提出した設計資料と車両をもとに、どのような技術を採用し、どのような工夫をしているか、またその採用した技術が市場性のある妥当なものかを評価する。 150
合計 325

 

動的審査

競技種目 競技内容 配点
アクセラレーション 0-75m加速。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行し、タイムを競う。 75
スキッド パッド 8の字コースによるコーナリング性能評価。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行し、タイムを競う。 50
オートクロス 直線・ターン・スラローム・シケインなどによる約800mのコースを2周走行する。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行し、タイムを競う。エンデュランスは、このオートクロスの早いチーム順に走行する。 150
エンデュランス 直線・ターン・スラローム・シケインなどによる約22kmの周回路をドライバー2人で走行する。走行時間によって車の全体性能と信頼性を評価する。 300
燃費 耐久走行時の燃料消費量または電力消費量で評価する。 100
合計 675